椅子上生活

主に椅子の上にいます

連続テレビ小説「スカーレット」が好き

NHKの朝ドラ「スカーレット」が好きだ。


朝ドラはわりと見るタイプだ。
でも作品によっては脱落してしまうものも多い。
まんぷく」は毎日欠かさず見た。面白かった。
なつぞら」は北海道、酪農、アニメーターとわたしが気になるフックが大量にあったけれど、見る日も見ない日もあった。なんとか完走はした。


スカーレットは、全く期待も無く、ただ当初は元スイちゃん(NHK教育の子供番組「みいつけた!」の女の子)が子役で出てる!というので注目して見ていた。しかしあまりの貧乏さ理不尽さ、父親常次の存在に怒り、喜美子とともに一喜一憂してきた。


そして、そのうちに地味ながらも丁寧に紡がれる物語に夢中になった。(常次はまだ許していない。でも死んだ時不覚にも泣いた。不覚。)

描かれない時間もきちんと紡がれている

スカーレットは劇中で出ない・見えない部分も丁寧に描かれる。数年経った場合に、その間に何があったかをナレーションや説明台詞ではなく、自然な会話の流れでさり気なく教えてくれる。ドラマの中で存在しないはずの時間も、無ではないのだ。


しかし、心情については徹底的に語られない。登場人物の表情、そして絶妙の劇伴で表現される。
その、視聴者に委ねられる部分がとても心地いい。描かれないから、見る人によって色々な解釈が生まれる。
自分なりに考えるし、他の人の意見を見るのもまた楽しみになっていた。

ものづくりシーンの本気

もう一つ。スカーレットはものづくりの物語だ。そして喜美子の「好き」の物語。
最初は絵。そして絵付け、陶芸。
(もちろん喜美子の「好き」の一部である家族や幼なじみ、結婚も描かれる。)


その描かれ方が本気で好感が持てる。
新聞紙や割れ物での運筆の練習や、役者本人による陶芸シーン。
役者も演出も本気で作っているから、「えっ、絵を描くのにその線から!?」みたいな事があまりない。*1(残念ながら前作はその辺が気になってしまって入り込めなかった)

そしてその本気度は視聴者のわたしの理解を超えて行ってしまった。どちらかというとわたし自身は八郎の意見に共感できる。当時の20万は今の百万以上相当だという。子供の学費を削る…?その発想は、わたしにも無い。
でも芸術を極める者とは、自分の「好き」ややりたいことに向き合い、徹底的に成し遂げた者が到達できるんだろう。
ものづくりをする者の一端として、説得力を感じた。

ドラマの人物の未来を本気で心配

最近は毎朝、7:30からのBS(通称「早スカ」)と、8:00からのNHK総合(通称「本スカ」)で、2回見てから出勤している。そうすると通勤の30分はずっとスカーレットのことを考えている。
今週の八郎との再会の日の後は信楽太郎「さいなら」の歌が頭に浮かんでいた。

もー、ほんと、きみちゃんが幸せになって欲しい。
形は色々あるだろうけど、最終的に晴れ晴れした気持ちで居て欲しいなと思うのだ。
ドラマの登場人物にこんなに感情移入して未来を憂慮して、なんなんだわたしは、とも思ってしまうけれど。
そして、八郎も幸せになって欲しいと思う。
二人がそれぞれ好きだ。


わたしは今まで離婚というものを分かっていなかった。好きな気持ちが残っていても一緒に居られないことがあるんだ。

喜美子と八郎の離婚はまるで高校生の自然消滅の失恋のようだ。丁寧語で話さないと、自分が崩れてしまうかもしれないのだ。まだお互い忘れていないのに。


Twitterの #スカーレット タグの様々な考察はなるほどとも思うが、自分と違う意見も多くて、最近はあまり見過ぎないようにしている。特に、他人の感情を断定するようなものは「いや決め付けんなよ」と思ってしまったりするので。
ほんと、ドラマに対して抱える感情じゃないと、入れ込みすぎていると自覚している。それくらい物語に入り込んでしまう。


あとタグに流れてくる、各メディアの来週のあらすじツイートは滅びて欲しい。本放送を楽しみにしている身としては、楽しみを潰されてしまうので本当に本当に嫌だ。(毎日の主題歌のスタッフロールと土曜の予告は見ないという華丸さんほどストイックにはなれないけどw)

陶芸、やってきました

毎日見ているから、好きすぎてとうとう陶芸体験にも行った。


電動ろくろは初体験。映像で見ていた想像よりも硬い土と、ザラッとした感触。思い通りの形を作る難しさ。
茶碗を作ろうと思ったが、どんどん伸びて謎の中鉢(大鉢と言うほど大きくない)ができた。きっと、煮物なんかを入れたらちょうどいいだろう。
完成は6ヶ月後らしい。


その頃はもうとっくにスカーレットの放送は終わっている。


スカーレットはどんな形を成しているだろう。
わたしの器はどんな出来になるだろうか。


時が経つのが楽しみで心配で、やっぱり楽しみだ。

*1:唯一気になったのは八郎が喜美子を描いたシーン。絵柄が新しすぎる。頰はあの時代は丸で描かない。八郎役の松下さんが現役の本物の絵描きアーティストな故に生まれてしまった違和感だろう。